新的藝術表現,感受3D藝術的誕生
新たな芸術表現、3Dアートの誕生を実感http://3d.panasonic.net/ja/3doutline/interview/img/02_img01.jpg
[*]3Dによる新たな表現手法が出現! [*]迫力!3Dならではの歪んだ空間表現 [*]3Dは広大な自然、宇宙、世界観を自然に表現できる [*]3D化自体が、新たな創作活動に [*]セルアニメの世界観を3Dアート化すると? [*]新たな芸術表現、3Dアートの誕生を実感
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小塚 雅之(こづか まさゆき)パナソニック株式会社 本社R&D部門 理事
皆さん、こんにちは。パナソニックの小塚です。今回は皆さんに、 3Dで初めて可能になった 新たな芸術表現 である「3Dアートの世界」をご紹介したいと思います。
今回、3Dアートをお創りになったのは、ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント(以下、ルーセント)さんです。早川書房さんの「S-Fマガジン」50周年記念アートブック「Sync Future」に収録されているSF小説をモチーフにしたイラスト作品を3D化することで、新たな アート表現を 生み出 すという試みです。
アートブック 「Sync Future」とは?
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アートブック 「Sync Future」
http://www.lpei.co.jp/sync_future/about/
発売:2009年12月10日
発行:早川書房/ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント
早川書房『S-Fマガジン』創刊50周年を記念して、早川書房とルーセント・ピクチャーズエンタテインメントが共同で発行。アニメ監督、漫画家など国内外で活躍中のクリエイター25名が、早川書房より刊行された日本人SF作家の25作品のイメージをイラスト化することで、半世紀の日本SFの到達点を振り返りつつこれからのSF50年を創造する、「SFアートブック」です。
今回完成した3Dアートは、原作小説を良くご存じのSFファンの皆さんはもちろん、まだ作品をお読みでない方たちにとっても、そして3D映像をすでに体験したことのある方たちにとっても、非常に興味深いものとなっています。その面白さ、素晴らしさ、3Dを動画ではなく静止画で鑑賞することの意義についてご紹介すべく、ここでは5点の作品をルーセントさん、早川書房さんと共に観ていきたいと思います。残念ながらウェブ上では実際の3Dの見え方をそのままご覧いただくことはできませんが、3Dグラスの向こうに拡がる新しい世界、これからの3Dの可能性の一つとして、感じ取っていただければ幸いです。
ご紹介する3Dアートは、この5作品!
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「グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ」
Author: 飛 浩隆
Illustration: 磯 光雄
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「傀儡后(くぐつこう)」
Author: 牧野 修
Illustration: JohnHathway
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「パンドラ」
Author: 谷 甲州
Illustration: 平田 秀一
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「百億の昼と千億の夜」
Author: 光瀬 龍
Illustration: 茂本 ヒデキチ
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「美亜へ贈る真珠」
Author: 梶尾 真治
Illustration: ミギー
3Dによる新たな表現手法が出現!
小塚:
本日私と一緒に作品をご鑑賞いただくのは、ルーセントの鎌形さんと早川書房の塩澤さんです。司会進行はルーセントの西さんにお願いします。皆さん、どうぞよろしくお願いします。
鎌形・塩澤・西:
こちらこそ、よろしくお願いします。
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鎌形 英一 (かまがた えいいち)
ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント株式会社 代表取締役社長。
アニメーションや立体映像を中心とした映像作品のプロデュースを行う。
早川書房刊SFアートブック「Sync Future」プロデューサー。
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塩澤 快浩 (しおざわ よしひろ)
「S-Fマガジン」第8代編集長。「SFが読みたい!」創刊、叢書「ハヤカワSFシリーズ Jコレクション」を創刊。いわゆる「SF冬の時代」を終焉させた編集者。
アートブック「Sync Future」をルーセント・ピクチャーズとともに企画。
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西 雅太郎 (にし まさたろう)
ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント株式会社 立体映像事業部 事業開発担当 プロデューサー
3Dコンテンツ制作と普及活動全般に携わる。海外のイベントにも精力的に足を運び、最新3D技術の今を追い続ける熱血プロデューサー。大のSFファンでもある。
西:
最初の作品は、「グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ」です。塩澤さん、この作品世界について、簡単にご紹介いただけますか。
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「グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ」
Author: 飛 浩隆
Illustration: 磯 光雄
塩澤:
今回取り上げていただいたのは、どれも日本を代表するSF作品なんですが、こちらの原作小説も非常に人気のあるシリーズです。南欧の港町を模した仮想リゾートの世界で永遠の夏を過ごすAI(人工知能)たちが、謎の存在「蜘蛛」の大群に襲われてしまう・・・という、ちょっとダークな、でもとても魅力的な作品です。
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鎌形:
ではさっそく3Dで鑑賞してみましょう。
小塚:
面白いですね。2Dで見た印象とはガラッと変わって、3Dを使うことで全く新たな表現が実現できていることが実感できます。静止画を3Dで創作しなおすことにより、ちょうど美術館や博物館で、絵画ではなくオブジェを鑑賞しているような感覚に陥りますね。
塩澤:
確かに、同じ3Dでも動画の場合はついつい見逃してしまう部分もあるし、観る側はどうしても「受け身」にならざるを得ない気がします。一方、静止画の場合は、観る側がかなり「能動的」に作品と向き合える。自ら意欲的に画面のあちこちを鑑賞したくなりますね。
鎌形:
イラスト自体でも、原作の世界観が上手く表現されていますよね。謎めいた「蜘蛛」もしっかり描かれつつ、原作世界の様々なシーンがコマごとに描かれています。3D化するにあたっては、このコマ一つ一つに異なった奥行きをつけ、奥から手前に向かって次々に重なり合うような処理を施しています。
小塚:
2Dイラストが持つタテとヨコの拡がりに加え、3Dによって「奥行き」という表現の余地が加わるわけです。この奥行きの使い方によって、表現の幅がグンと増えるんですね。この3Dアートという新たな芸術表現の誕生を、美術関係の方たちにも是非伝えたいですね。この新しいアートによって、更に新しい発展が期待できます。
鎌形:
この奥行きは、表現する側にとって、ものすごく刺激的なものです。つまりは「絵の中に、本当の空間を持つ」ことになってきますから。今後、2Dの描き方そのものにも影響してくると思います。
西:
ではここで当社の立体映像制作チームを代表して、実際に「Sync Future」の2Dイラストを3Dのビジュアルに創りこんでいったステレオグラファーを紹介します。細貝君、よろしく。
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細貝 唯之 (ほそかい ただゆき)
ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント株式会社 立体映像事業部
ステレオグラファー/ディレクター
「Sync Future」に収録された作品の3D化にチャレンジした若き技術者。
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細貝:
皆さん、よろしくお願いします。3D化にあたっては、まず「イラストレーターさんは何を一番強く伝えたかったのか」ということに思いを馳せました。このイラストでは「瞳がクローズアップされたコマ」に最もパワーを感じたので、それが一番手前に来るように調整し、瞳自体も出来るだけリアルに描くことにしました。イラストと見比べていただくと、3Dでは瞳がちゃんと球体になっているのがおわかりいただけるかと思います。瞳に覆いかぶさっている髪の毛も、細かく立体処理を加えて丁寧に描写しました。
塩澤:
確かに伝わってきますね。3Dグラスをかけて最初に目につくのがこの瞳のコマでした。奥行きのつけ方で、何が「描き手が力を入れた部分」なのかが自然とわかるわけですね
西:
3D化するにあたって、特に難しかった点はどこですか?
細貝:
各コマを縁取っている線の立たせ方ですね。機械的な直線ではなく、いかにも手描きタッチのラインなんですが、そのニュアンスをブレさせることなく、かつクリアな3D画像に落とし込むのが大変でした。
小塚:
このような3D表現を、後から加えるのは確かに難しいですよね(笑)。でもかなり上手く表現しておられると思いますよ。2Dの場合は、作者が鑑賞者に注目して欲しいポイントに視点を誘導するのに苦労しますが、3Dアートであれば、強調したい部分を立体化することで、全体のバランスを変えずに、そこに視点誘導することが可能です。今後はこのような3Dだからこそ可能な表現手法が定着していくでしょう。
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迫力!3Dならではの歪んだ空間表現西:
さて、2作品目は「傀儡后(くぐつこう)」 です。いかがでしょうか。
小塚:
もともとの2Dの絵自体、かなり迫力のある作品なのですが、これが、3Dになると本当にすごい。別作品であるかのような驚きがあります。
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「傀儡后(くぐつこう)」
Author: 牧野 修
Illustration: JohnHathway
塩澤:
ドドッと人々が押し寄せてくる感じに圧倒されますね。原作小説の作家さんは大阪生まれの方で、この作品の舞台も大阪です。街に謎の巨大隕石が落下し、人々の意識と空間自体が徐々にグロテスクに変容していくというお話です。ここに描かれているのは、小説のワンシーンというよりは、その世界観ですね。
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実際に画創り中の細貝氏。「1フレーム単位でクォリティチェックを繰り返すパナソニックさんの作品づくりへの意気込み・姿勢に、多くの影響を受けました」
西:
このイラストは、かなりの密度で人物、街の様子が描き込まれています。イラストレーターさんは「時間の許す限り描き込みます!」と宣言した上でここまで仕上げてくださったそうです。細貝君は、どんな創り込みをしていきましたか?
細貝:
そんなイラストレーターさんの意気込みに応えるべく、私もとにかく観た人がアッと驚くような3Dアートに仕上げようと思い、人物1人1人を切り抜いて個々に3D処理をしていきました。最終的には何百という数のパーツを重ねることになり、立体映像制作チームで何日もかけて取り組みました。
小塚:
イラストレーターさんの熱い思いを受けての、魂のこもった表現ですね。ホントにすごい迫力です。人物の多様さだけでなく、背景の街並みの表現も、原作者が意図した「空間が歪んでいく様子」を的確に表現され、観る側にそのオドロオドロしさを伝えていると思います。このような新たな3D表現の実現はかなり難しかったと思いますが、丁寧な仕上げをされていて感銘を受けました。3Dになったことで、更に作品に感情移入しやすくなりますね。
鎌形:
イラストではつい見逃してしまう部分も、3Dになるとちゃんと観たくなるから不思議です。その分、創る側としては手が抜けませんが(笑)。努力した結果、この作品は今回の3Dアートの中でもかなりの好評をいただいています。
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3Dは広大な自然、宇宙、世界観を自然に表現できる西:
3作品目は「パンドラ」ですね。奇しくも映画「AVATAR」に登場する衛星と同じタイトルですが、この小説では、とある彗星の名前として使われています。
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「パンドラ」
Author: 谷 甲州
Illustration: 平田 秀一
塩澤:
地球に様々な異変が起き始め、ついには人類の存亡をかけた熾烈な戦いに発展していくというストーリーです。イラストでは原作に登場するヒマラヤと宇宙ステーションをモチーフに、その世界観が描かれています。
小塚:
空間の拡がり感、雄大な自然などは、もともと3Dで存在していますから、3Dアートとの相性もいいんです。この作品も、広大なヒマラヤに浮遊する宇宙ステーションを、地上からかなり離れたエリアから眺めたかのような存在感がしっかり出ていますね。
鎌形:
イラストを担当したのは、押井守監督作品「イノセンス」などのアニメ作品で美術監督を務めた平田秀一氏です。アニメというのは、言ってみれば「嘘」の連続で成り立つ世界。平田さんは、その虚構の世界にごく自然にリアルな空気を漂わせることのできるすごい人です。このイラストでも、現実には無いはずの宇宙船が、ゴツゴツしすぎない自然なタッチで表現されています。
細貝:
私も3D化にあたり、この宇宙ステーションの質感にすべてがかかっていると思いながら作業しました。奥行き感を加える際は、現実の立体物として正しい状態になっているか、自然な重厚感が出せているかということに注力しました。でもこれがとても難しくて。実際にはこの世に存在しないものですから、イラストから得るインスピレーションと頭の中のイメージで立体感を創り上げていくわけですが、飛び出し感、奥行き感の加減の付け方が難しい。技術者の力の差が出る世界だと感じました。
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小塚:
宇宙ステーションの金属感が上手に出ていて、私は好きです。全体的な色調については、原画とは異なった新たな解釈をされているようですが?
細貝:
はい、少し明るめにしています。全体の色味を落としすぎると、立体感が出にくくなってしまうので。
塩澤:
確かに元のイラストはブルーがかった暗い部分の多い作品です。でもこの3Dビエラだと画面の奥のほうまでしっかり確認できますね。
小塚:
3Dビエラはコントラスト特性に優れているので、作品の持つ広大な自然の様子、宇宙ステーションの金属感なども忠実に再現できます。作品自体の持つ世界観を十分楽しんでいただけると思います。
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鎌形:
おっしゃるとおりです。当初は検証用に他メーカーの46v型ディスプレイを使っていたのですが、パナソニックさんにご協力いただけることになり、パナソニックセンター東京にある103v型プラズマディスプレイを使わせていただけることになりました。すると46v型では見つけられなかった粗い部分がたくさん発見できまして、すぐに改善作業にかかりました。各作品の品質を高めていく上で、3Dビエラの存在はものすごく大きかったです。
小塚:
自発光のプラズマディスプレイは、もともと「黒」の表現力が非常に高いんです。今回の3Dビエラでは、さらに改良を重ね、描写力を高めていますから、制作者の意図が的確に表現されているかどうか確認する用途にもお使いいただけます。
塩澤:
2Dのイラストでは見過ごしてしまいそうな雪山のディテールも、3Dではしっかり確認できますね。まるで本当にそこに宇宙ステーションがあるかのように・・・。そうだ、今のこの静止画に、あえて空気感を表すエフェクトが加わると、もっと良くなるような気がします。ヒマラヤの凍りつくような冷気の動きを動画で上乗せするとか・・・。
小塚:
確かに、空気の存在が表現できるのは、3Dアートの魅力でしょうね。静止画と動画の融合というのも、3Dアートとして非常に面白いと思います。
細貝:
すでに完成した作品ではありますが、こうやって改めてじっくり観続けると、どんどん改善したいポイントが出てきますね(笑)。
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3D化自体が、新たな創作活動に4作品目は、「百億の昼と千億の夜」 です。イラストはご覧のとおり、実際に墨と筆で描かれた、モノトーンながらもパワーあふれる力作です。
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「百億の昼と千億の夜」
Author: 光瀬 龍
Illustration: 茂本 ヒデキチ
塩澤:
原作小説は日本SFの金字塔として高い評価を受けている長編SFです。タイトルだけでも目にされたことがある方、多いのではないでしょうか。創世から滅亡へと向かう世界の長い時の流れの中で、プラトン、阿修羅王、釈迦、ナザレのイエスなどが登場し、壮大なスケールで物語が展開します。
鎌形:
ご覧のとおり、これもまずイラストがすごい。この作家さんの作品が出来る様子を間近で拝見したことがありますが、出来上がるまでどんな絵になるのかわからないんです。今回も、まずパッと見のすごさというのがあり、その中に個性的なキャラクターたちが強烈なタッチで描かれているのがわかります。
小塚:
本当にパワフルな作品です。しかし、このような山水画のような、遠近法に依らない世界を3D化するのは難しいでしょうね。それぞれのキャラクターの空間的な位置関係の解釈を3D化する人の感性で決める必要があるので、原作者の意図を反映した3Dアート化は難しかったと思います。どのような解釈でもって3D化をされたのでしょうか?
細貝:
そもそも3D化を見越して描かれた絵ではありませんから、筆の流れが微妙に合わさっていて、立体にしづらい部分がほとんどなんです。ただ、イラストレーターさんからは「おまかせします」ということで検討の余地を与えていただきましたので、まずは一番下のプラトンをしっかり立たせて、そこから詰めていくことにしました。
小塚:
うーん、作者にお任せと言われてしまうと、全くお手上げですね。今回とは異なる解釈での3D化も可能でしょうね。例えば、筆の動きごとに区切るとか・・・白い部分はすべて奥に置いて、黒い部分を手前に出してくるとか。いやあ、正解が無いこと自体、「3D化そのものが新たな創作活動であり、芸術である」ことを示していますね。
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鎌形:
そうですね。こういったタッチになると、クリエイターごとに違う意見が出てきそうです。ただ原作小説のスケール感、イラストの筆の躍動感を活かしながら奥行きという新たな世界を足していくわけですから、どのような処理になっていくとしても、表現という意味ではどんどん拡がっていきますよね。
セルアニメの世界観を3Dアート化すると?西:
ついにラストの作品となりました。やわらかい水彩画の色使いが印象的な「美亜へ贈る真珠」 です。
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「美亜へ贈る真珠」
Author: 梶尾 真治
Illustration: ミギー
塩澤:
イラストでも上手くイメージされていますが、この物語では登場人物の男性と女性が全く別々の時間の中を生きています。男性にとっての1秒が女性にとっての1日に相当する、という設定なんですが、そんな離れ離れに生きる二人の切ない想いが綴られていく作品。名作です。
小塚:
実は、個人的にこの作品の3D化に一番興味がありました。日本のセルアニメでも見受けられる「ボカシ」の手法を使った作品を、果たして3Dアートに創りこむことが出来るのだろうか?一体、どんな印象になるんだろうかと。
鎌形:
この作品のテーマは「時間」。イラストレーターさんは紙面の真ん中に大きな時計を配されました。我々3D化する側としても、この時計をしっかり立たせることが肝心だと思いました。
細貝:
実際の作業としては、時計、人物、背景色などのパーツごとに切り抜いてボカしながら、どんどんかき混ぜて奥行き感を足していく感じですね。とはいえ、どこを手前にしてどこを奥とするかは、非常に決め難い作業でした。
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小塚:
ボカシ、にじみといった描写をいかに3D化していくか。これも3D化する制作者の感性が問われる世界ですね。この絵も先ほどの墨絵作品と同じく、「3D化が難しい絵」かもしれません。
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塩澤:
時計の針と背景が絶妙に混ざり合って、なんとも不思議な画面になっています。3Dになっていることで、「2人の距離感」がさらに強調されているように思います。
新たな芸術表現、3Dアートの誕生を実感西:
これで全5作品を見終えたわけですが、皆さん、いかがでしたか。
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細貝:
今回の5作品については、実のところは、まだまだ手直ししたい部分も多いのですが(笑)、それなりに上手く3D化を進めることができたと思っています。今後の目標としては、イラストレーターさんとより連携を図りながら、原画の意図するところを忠実に3D化していく、ということでしょうか。3D化する側の解釈が間違っていたら、原作小説や原画の良さを台無しにしてしまう恐れもあるわけで・・・作家さんが伝えたい「なにか」を敏感に感じ取りながら、慎重に絵創りしていけるようになりたいと思います。
鎌形:
まず小説世界をイラストにする、という時点で、イラストレーターさんはかなりの想いを込めて取り組んでおられるんですね。ですから3D化する側も、その描き手の意図をきちんと理解した上で、かつ3D作品としてハイレベルなものを仕上げていきたい。今回は3D制作側の独断で進めてしまった部分が多々ありましたが、今後は、イラストレーターさん側と3D制作側で密にコミュニケーションを取りながら作品レベルを高めていくスタイルも追求していきたいですね。
西:
当社としては、3Dビエラで画質検証させていただいたことも大きかったですね。
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鎌形:
まったくです。今日、改めて家庭用サイズの3Dビエラで観てみましたが、これは本当に優れたディスプレイだと実感しました。お世辞ではありませんよ。今年に入って様々な展示会で3D対応のディスプレイをチェックしてきて、3Dビエラの輝度が一番優れていると感じたのですが、その印象は今でも変わりません。
今回の経験を活かして、ぜひ「Sync Future」の続編にチャレンジしたいですね。そしてより多くの方たちに3Dアートの世界を楽しんでいただき、日本に限らず海外の方たちにも、メイド・イン・ジャパンのSFに興味を持っていただければ嬉しいです。日本発の優れたSF作品を、日本の作家・3Dステレオグラファーたちがビジュアル化し、日本を代表するパナソニックの3Dビエラで鑑賞してもらう。これっていいと思いませんか?
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小塚:
我々はパナソニックハリウッド研究所(PHL)を中心に、ハリウッドの映画会社と3Dに関する様々なアイディアを検討してきました。そんな我々にとっても、今回の3Dアートの企画はかなり刺激的なものでした。もともとの原作・イラストに力があり、ルーセントさんの確かな技術力によって、ハートにグッとくる3Dアートに仕上げられています。3Dを動画ではなく静止画で鑑賞することの意義を、今回ルーセントさんの作品で初めて実感させていただきました。そして、3Dアート化することにより、もともとの2Dアートの表現力を拡張するのみならず、新たな作品としても昇華させることができるのだと確信できました。
日本には、アニメ以外にもたくさんの静止画素材がありますので、私も「日本発」の3D技術を推進した者の一員として、日本の優れた3Dアート作品をより多くの方たちにご提供していきたいという気持ちを新たにしました。
塩澤:
惜しくも一昨年亡くなられたSFの大家・野田昌宏(のだまさひろ)氏の言葉で、「SFはやっぱり絵だねェ」という有名な一節があります。今日の鑑賞会の感想もまさにそれです。観ているのはたった1枚の静止画なのに、そこには別次元の空間、時間が存在しているかのよう。活字で綴られた物語世界をこの手でリアルに触れられるかのようです。原作小説を知らない人が観ても、そこに何らかのストーリーを感じることができるでしょう。
出版社側の立場としても、原作小説の世界観を3Dでここまで拡げていけることは魅力です。小説の世界がイラストで表現されることは、言語の壁を越えて世界に羽ばたくきっかけとなり、3Dアートが加わることで日本国内だけでなく海外の読者のハートもつかむことができるでしょう。日本には優れたSF作品がたくさんありますから、今後はこうしたアート作品の存在がきっかけとなって、世界中に原作小説のファンが増えていけば嬉しいですね。
鎌形:
小塚さんのおっしゃるとおり、「3Dでもう一つの世界を創っていく」という行為は新しい芸術であり、そしてそれは同時に、とてもSF的、とも言えますよね。
塩澤:
まさにそのとおりだと思います。現実には無いはず・見えないはず・起こり得ないはずの不可思議な世界を、3Dアートという「もう一つのリアルな世界」で表現する、そして体感する。これは一種のSF体験と言えますね。
小塚:
3Dは映画のような映像関係のジャンルに限らず、大きな広がりを持てると確信しています。この3Dアートを、文学、絵画、彫刻等のジャンルの、多くの芸術家の方たちに体感してもらいたいですね。「ああ、3Dでこういうことができるんだ!」と気づいていただくことで、その方の新たな創作意欲にも火がつくと思います。
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鎌形:
そうですね。イベントや店頭デモなどで偶然私たちの作品に触れてくださった方々の驚く様子を拝見していると、もっとたくさんの人たちに知ってもらいたいと思いますね。皆さん本当にびっくりされて、喜んでくださるんです。映画プロデューサーや美術館キュレーター、大学教授など専門家の皆さんにも高く評価いただいており、新しい分野としての可能性を感じます。これからも作品を鑑賞いただくお客様はもちろん、創り手側の心も揺さぶることができるような3Dコンテンツを創っていきたいと思います。
小塚:
パナソニックも、皆さんの力作を忠実に再現できる技術を高めていきます。今日はどうもありがとうございました!
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今回紹介の原作小説と、アートブック「Sync Future」。「3Dアートの世界を体感することで、紙媒体への愛着もますます深まっていくような気がします。コレクターズアイテムとしての価値もあると思いますし、今後は3DアートがSFに欠かせない存在となっていくかもしれません。」(塩澤)
取材にご協力くださった皆さん、大変ありがとうございました!
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写真左から、飯島恵美さん*、早川書房の塩澤さん、鎌形さん*、パナソニックの小塚、後藤、西さん*、細貝さん*。
*・・・ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント株式会社の皆様 cool~!!
繪畫藝術與3D技術的結合
對畫家們來說是個新體驗 也是一個新的挑戰鼓掌=
以後說不定會來個3D畫展咧=期待= 看了一晚的3D照片,
有個idea。
不久將來的攝影展,進去前要先戴偏光眼鏡,
展場裡都是大尺寸3D電視(或螢幕),
連續播放著3D照片。
展場出口還賣展出照片的光碟,及相關3D廠商的商品。
另一個感想是,
甚麼 leica zeiss 底片 立體感 大片幅,
全都可以丟了...... Panasonic的 3D DEMO片中就有這篇文章提到的這一段3D插畫。
效果很不錯,一種全新的插畫欣賞經驗。 我覺得3D繪畫會比3D照片來的吸引我
之前在某篇文章就有看過攝影者用某種技法讓2D照片變立體
一開始看真的覺得很驚奇
不過看久了會覺得就像是一個定格的電影畫面
而且原先平面照片的自然景深美感都不見了
繪畫的話
反而會讓我有種走入奇幻世界的感覺
想要真的去觸摸它!
假如用投影機大畫面來看
一定會更像夢境一樣:D
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