アストロデザインは、8K解像度で98型の業務用液晶モニター「DM-3812」の販売を開始した。同社が関係者らに新製品などを紹介する「PrivateShow2014」(6月19日~20日)で初披露したもので、8K/98型液晶の外販は初となる。価格は約3,000万円。
出展された98型8Kモニタ
8Kカメラなどを使って撮影、リアルタイムで8Kモニタに伝送/表示した
フルHDに比べ縦横それぞれ4倍の7,680×4,320ドットの解像度を持ち、フレーム周波数60Hzに対応した直視型液晶モニタ。輝度は500cd/m2、コントラスト比は1,200:1。パネルは海外製。入力は、3月にARIB STD-B58として標準規格化され、同社の伝送装置などで採用している8K対応の光インターフェイスを使用。同社の8Kカメラヘッド「AH-4800」で水中撮影などを行なった映像を、8K対応レコーダの「HR-7512-C」で再生していた。
また、参考展示として85型の8K液晶モニタ「DM-3811」も初披露。シャープのUV2Aパネルを使ったもので、展示機は最終製品ではないが、今後、次世代のシャープ製パネルを使って製品化する見込み。解像度は7,680×4,320ドットで、フレーム周波数は60Hz、輝度は300cd/m2、入力は光インターフェイスとHD-SDI。
シャープのUV2Aパネルを使った、85型8K液晶モニタで8Kの海中映像などをデモ再生
撮影時のシステム
同社は、スタジオ向けの光伝送装置なども製品化しており、「HDカメラの使用感そのままで運用できる」という8K撮影のシステムを実現。展示会場で8Kカメラや、フォーカス確認用の4Kビューファインダ、伝送装置などを使って、前述の98型液晶モニタにリアルタイムで映像を表示するライブ伝送デモを行なっていた。
8Kカメラヘッドと光伝送装置
8Kカメラや伝送装置など、スタジオ向けのシステム
4Kモニタに変換してフォーカスを確認
さらに、8Kの120Hzにも対応したキューブ型カメラヘッド「AH-4801-A」も参考展示。総務省のロードマップでは2020年の放送開始を予定している8K放送の仕様で“フルスペック”とされる120Hzの撮影を、外形寸法15.1×13.5×12.5cm(幅×奥行き×高さ)、約2kg(レンズを除く)という小型軽量の本体で実現。スポーツなどの動きの速い被写体にも、動きボケが少なく鮮明な撮影を可能にするという。会場でカメラからの映像伝送デモも行なっている。
8K/120Hz対応のキューブ型カメラヘッド
28型4Kモニタ4台を使ったシステム
そのほか、メーカーによる4K/8Kテレビ開発などに向けた機材として、既存の28型4Kモニタを4台並べ、デジタルビデオ信号発生器4台で同期再生するシステムも参考展示。HDMI 2.0やDisplay Port 1.2の4K/60p信号、SDI、V-by-Oneの各インターフェイスに1台で対応したデジタルビデオ信号発生器「VG-876」を4台使用している。
ユニークなものでは、サイネージなどに使える横長の8K×1K(8,640×1,080ドット)形状を採用した「ウルトラワイドビデオウォール」を展示。プロジェクタなどで知られるクリスティの「CHRISTIE MICROTILES」と協力し、アストロデザインの8Kビデオウォールプロセッサーで画面合成などを行なう。展示構成は、横に12台、縦に2台を並べたもので、サイズは4,896×612mm(横×縦)。8K映像の横方向を等倍表示できるほか、左右の余った部分に文字情報などを合わせて表示できる。
8K1Kの横長「ウルトラワイドビデオウォール」
プロセッサーなどの使用機材