家庭用として初めてQFHD(Quad Full High Definition)パネルを搭載した“4Kテレビ”、東芝レグザの「55X3」。昨年の暮れに登場したこのモデルの後継機「55XS5」が間もなく発売される。"Quad Full High Definition"というのはフルHD解像度の4倍という意味。フルHDの約207万画素(1920×1080ピクセル)に対し、約829万画素(3840×2160ピクセル)表示を行うテレビというわけだ。
ところで、さまざまな映画ソフトを観ていると、その4K高解像度効果が著しい作品と、さほどでもないものがあることに気づく。自分の視力が上がったのではないかと思えるほど高精細に見える前者のBD作品を列挙してみると、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「山猫」(1963年)、ロバート・ワイズ監督の「ウェストサイド物語(1961年)、パウエル&プレスバーガー監督、ジャック・カーディフ撮影の「赤い靴」(1948年)、ヒッチコック監督の「To Catch a THief(泥棒成金)」(1955年、米国盤)など、映画黄金時代の歴史的名作群がある。
例えば、「To Catch a THief(泥棒成金)」でケイリー・グラントの着るサマーウールやフラノのジャケットの毛羽立ちや顔のしわ、グレース・ケリーの着るシルクのドレスの微妙なテクスチャーの表現力は、4K表示機器の最適視距離とされる1.5H(画面高の1.5倍)近くまでにじり寄って観ると圧倒的というほかなく、隣に同サイズの液晶テレビを並べてごらんになれば、誰もが本機の4K表示能力の凄さを納得するのではないかと思う。
Blu-ray Discなどの2K映像(1920×1080ピクセル)を4K(3840×2160ピクセル)表示するために用いられる超解像技術は、大きく分けると「再構成型超解像技術」と「自己合同性型超解像技術」の2つである。いかにもコムズカシイ言葉だが、おおまかにいって、前者の再構成型超解像技術は水平画素の、後者の自己合同性型超解像技術は垂直画素の補間に用いられる手法と考えてよい。つまりHDの水平1920画素を4Kの3840垂直画素に伸長する際に使われるのが再構成型で、HDの垂直1080画素を4Kの2160画素に伸長するのが自己合同性型というわけである。